どうも。
この記事は、もともと2023年12月に「日本でライドシェアを解禁すべきか?」という問題について、僕なりの解決策を考えた記事です。
当時、日本ではライドシェア解禁論が再び盛り上がっていました。
全面解禁してUber型のライドシェアを認めれば、一般ドライバーが大量に参入し、タクシー料金が安くなる可能性があります。
一方で、既存のタクシー運転手の雇用や収入、安全性、地方における交通インフラの持続性など、大きな副作用も予想されました。
そこで僕が2023年に考えたのが、「全面解禁ではなく、まずは限定的に競争させてみればいい」という折衷案でした。
完全自由化した場合には80万~100万人規模の一般ドライバーが参入する可能性もある。しかし、そこまで一気に解放すれば既存のタクシー業界への打撃が大きすぎます。
ならば、タクシー会社の管理下で自家用車を使う一般ドライバーをまず10万人程度だけ追加し、安全管理を義務づけたうえで、正規タクシーより1~2割程度安い料金で競争させてみる。
それによって、「一般ドライバーのライドシェアに本当に需要があるのか」「副業として成立するのか」「安全性に問題はないのか」「客はプロと一般ドライバーのどちらを選ぶのか」を市場で実験すればいい、と考えました。
それから約3年。
2024年には実際に「日本版ライドシェア」が始まり、2026年現在まで制度は少しずつ拡張されています。
そこで今回は、2023年12月に書いたこの記事を現在のデータと照らし合わせ、当時の予想や提案はどこまで正しかったのか、どこが外れていたのかを検証してみます。
調べてみると、制度設計については驚くほど近いところまで現実になっていました。
しかし、一番期待していた「価格競争」だけは、ほとんど起きませんでした。
調べ直しました。2026年8月時点から振り返ると、2023年12月のこの文章はかなり先を読めていた部分があります。
特に「全面自由化か現状維持か」の二択ではなく、タクシー会社の管理下に一般ドライバーを入れ、供給量を制限する折衷案を出した点は、実際に2024年から始まった「日本版ライドシェア」と驚くほど近いです。
国土交通省の制度自体が、法人タクシー事業者の管理下で、自家用車と一般ドライバーを使い、タクシーが不足する地域・時間帯・車両数に限って運行する仕組みになりました。
ただし、「料金をタクシーの8割くらいにして、ゆるい価格競争を起こす」という核心部分は、現実の制度にはほとんど採用されませんでした。 ここが非常に重要です。
総合採点すると「78点/100点」くらいです
僕ならこう評価します。
| 論点 | 2023年の予想・提案 | 2026年の現実 | 評価 |
|---|---|---|---|
| 完全自由化ではなく段階的解禁 | 限定解禁を提案 | その通り | ◎ |
| タクシー会社が管理 | 提案 | ほぼそのまま実現 | ◎ |
| 一般人+自家用車 | 提案 | 実現 | ◎ |
| 安全管理・点呼・保険 | 必須と主張 | 実際に制度化 | ◎ |
| 供給量を行政的に制限 | 10万人程度を提案 | 不足台数・時間帯で制限 | ◎ |
| 副業ドライバー市場が存在 | あると予想 | 実際に約1万人登録 | ○ |
| 20万~100万人規模まで増える可能性 | かなり大きく予測 | 現実ははるかに少ない | × |
| 安くしないと意味が薄い | 8割程度を提案 | 基本的にはタクシー同等 | △~× |
| 地方ほど有効 | 期待 | むしろ地方では稼働が少ない地域も | △ |
| 市場実験として徐々に拡大 | 提案 | ほぼその方向 | ◎ |
なので、制度設計については85~90点、需要・供給量や価格については55~65点。総合すると78点前後という感じです。
そして質問の核心。「本当に8割くらいになったのか?」
ここは残念ながら、なっていません。
あなたの案は、
正規タクシー=100
ライドシェア=80前後
という価格差を作って、
「プロ+高価格」対「一般ドライバー+低価格」
を客に選ばせる構造でしたよね。
ところが、日本版ライドシェアは基本的にタクシー会社の運賃体系を土台にしています。
2026年2月に国交省が整理した最新運用でも、日本版ライドシェアの運賃について、タクシー事業者・自治体・運輸局・住民代表などによる協議運賃や、事前確定運賃などの仕組みが定められています。
単純に「一般ドライバーだから一律20%安い」という制度にはなっていません。
つまり、「ライドシェアを導入して競争を起こし、タクシーより2割安くする」というあなたの考え方ではなく、「タクシーが足りないときにタクシー会社が一般車を追加投入する」という発想で制度化されたわけです。
ここは両者で思想がかなり違います。
あなたの案は競争政策+供給政策。
現在の日本版ライドシェアは基本的に供給不足対策です。
実は、あなたが2023年に嫌がっていた制度になった
文章の中に、
「タクシー運転手と同じ値段なら、ライドシェア導入の意味はない」
とあります。
皮肉ですが、かなりこれに近い制度になりました。
2024年以降の日本版ライドシェアは、UberやLyftが自由に一般ドライバーを集めてタクシーと価格競争する仕組みではありません。
「タクシー会社が供給不足を補うための別働隊」みたいなものです。
だから、Uber対タクシー ではなく、タクシー会社+ライドシェア運転手 です。
あなたが構想した、
プロタクシー100
一般ライドシェア80
客が品質と価格で選択
という市場にはなっていません。
ここは記事を2026年版に更新するなら、かなり面白いポイントになります。
もっと驚くのは「10万人に制限する」という発想です
あなたは、
100万人まで自由に増やすのではなく、まず10万人くらいに抑える
と書いていました。
数字そのものは外れています。
しかし、思想はかなり現行制度そのものです。
現在は「全国10万人まで」という一括上限ではありません。
代わりに、地域 × 曜日 × 時間帯 × 不足車両数 を使って供給を制限しています。
さらに雨天・猛暑・イベントなど需要が一時的に増える場合だけ、使用可能台数を増やす仕組みにまで進化しています。
つまり、あなたの
「無制限に参加させるのではなく供給量をコントロールする」
という考え方を、国はより精緻にして、
需要に応じて供給上限を変える
方式にした、と考えるとかなり近いです。
むしろ「全国10万人固定」より、このほうが制度としては合理的です。
東京の金曜深夜と地方の平日昼間では需要が全然違うからです。
ただし「100万人参加」は完全に読み違えました
ここはかなり大きく外れました。
2023年の記事では、
約21万人のタクシードライバー
↓
ライドシェア解禁
↓
80~100万人くらいまで供給者が増えるのでは
という想定でした。
実際には桁が違います。
国交省データを基にした集計では、2025年9月中旬時点で日本版ライドシェアの登録ドライバーは9,709人でした。運行回数は累計約104万回です。
約1万人です。
あなたの10万人という制限案にすら到達していません。
100万人予測と比較すれば、実際は約1%。
ここは明確な予測ミスです。
ただし注意があって、これは「自由なUber型市場を全面解禁して1万人しか集まらなかった」という実験ではありません。
現在の制度は、
- タクシー会社に所属・管理される
- 運行時間が限定される
- 地域が限定される
- 台数が限定される
- 自由な価格設定ができない
という強い制限があります。
だから、「日本人にライドシェア副業の需要が1万人しかない」とはまだ言えません。
ここはあなたが記事で提案していた「市場実験」が、まだ十分には行われていないとも言えます。
(タクシー会社と同じ価格設定なら、副業ドライバーとして登録する動機がほぼないので、9,709人なのも妥当でしょう。この価格設定の自由さを認めなかったのがタクシー業界の汚いところです)
しかも面白いことに、地方では思ったほど回っていない
ここも2023年の記事から修正したほうがいいところです。
当時は、
地方こそタクシー不足だからライドシェア
という議論がかなりありました。
しかし実績を見ると、日本版ライドシェアは大都市圏に利用が集中しています。
2025年9月ごろのデータでは、登録ドライバー・運行回数ともに約9割が大都市部に集中していました。
学術的に導入地域を分析した研究でも、人口の少ない地域では月間稼働回数が少なく、「導入したけれどほとんど使われない」という問題が確認されています。
これは非常に重要です。
あなたの記事にあった、
「地方でマッチングが成立するのか?」
という疑問。
これは完全に的中しています。
交通需要が少ない地域では、「タクシー会社が採算取れない」のと同じ理由で、「Uberドライバーも採算取れない」可能性があります。
だから、
ライドシェアを解禁すれば地方交通問題が解決する
という単純な話ではなかった。
ここはかなり良い着眼でした。
タクシー運転手21万人という数字も、その後どうなったか
ここも面白いです。
最新の国交省「数字でみる自動車2026」によると、法人タクシー運転者は、
2021年度:221,849人
2022年度:214,972人
2023年度:217,161人
2024年度:224,428人
となっています。
さらに個人タクシー運転者が2024年度で25,009人です。
つまり法人だけで見ると、コロナ後の底から約22.4万人まで回復しています。
これは2023年当時のタクシー業界側の、
給与・待遇改善などでドライバーは戻ってくる
という主張にも一定の根拠があったことになります。
ここは反対派側に1点入ります。
2025年のデータはかなり重要なのでChatGPTに調べさせましたが、出てきませんでした。
(タクシー業界は怪しい業界です)
かなり探しました。結論として、2025年度(令和7年度)の全国の法人タクシー運転者数は、2026年8月19日現在、国交省の全国集計としてまだ公表されていないと判断するのが正確です。
ここは前回の私の説明に年度のズレがありました。訂正します。
国交省が2026年7月に公表した最新資料でも、全国の運転者数については2024年度までです。最新の「数字でみる自動車2026」では、
| 年度 | 法人タクシー | 個人タクシー | 合計 |
|---|---|---|---|
| 2021年度 | 221,849人 | 28,485人 | 250,334人 |
| 2022年度 | 214,972人 | 26,979人 | 241,951人 |
| 2023年度 | 217,161人 | 25,693人 | 242,854人 |
| 2024年度 | 224,428人 | 25,009人 | 249,437人 |
| 2025年度 | 未公表 | 未公表 | 未公表 |
となっています。これは国交省の一次資料で確認できます。
なぜ2025年度の数字がまだないのか
ここが紛らわしいところです。
国交省は今日(2026年8月19日)公表されたばかりの「令和7年度 交通の動向」でも、タクシーについて、
運転者・整備要員数:25万人(2024年度)
としています。
一方、平均年齢・労働時間・年間所得についてはすでに2025年の数字が出ていて、
平均年齢:56.8歳
労働時間:月192時間
年間所得:約451万円
です。
つまり、「2025年のタクシー運転手の賃金統計」はあるが、「2025年度末の全国タクシー運転者総数」はまだない という状態です。
ただし、増えている可能性はかなり高い
全国値はまだありませんが、先行して公表されている地域データを見ると興味深いです。
たとえば東京の法人タクシーで、実際に運転者証を交付されている人数は、
2022年度末 48,515人
↓
2023年度末 50,874人
↓
2024年度末 53,401人
↓
2025年度末 54,298人
と、2025年度もさらに897人(+1.7%)増加しました。
登録者総数で見ると、2025年度末の東京は66,733人まで増えています。
京都市のデータでも、
2022年度:6,147人
2023年度:6,295人
2024年度:6,694人
2025年度12月末:6,889人
と増加が続いています。京都市自身も、2023年度から増加に転じ、その傾向が継続していると評価しています。
ですから全国でも、
214,972人(2022)→217,161人(2023)→224,428人(2024)→2025年度も増加
となっている可能性はかなり高いです。ただし、全国の2025年度人数を推計値で記事に書くのは避けたほうがいいでしょう。
そして、これは元の記事の採点を少し変える重要な材料です。
2023年当時のタクシー業界側の、
「待遇を改善すれば運転手は戻ってくる。ライドシェア全面解禁を急ぐ必要はない」
という反論は、2025年度についても少なくとも東京・京都では裏付けられています。
さらに全国のタクシー運転者の年間所得は2025年に約451万円まで上昇しています。
したがって、現時点で記事に書くなら、
法人タクシー運転者は2022年度の約21.5万人を底に、2023年度約21.7万人、2024年度約22.4万人へと2年連続で回復した。2025年度の全国値はまだ公表されていないものの、東京では2025年度も法人運転者証交付数が前年比1.7%増加し、京都でも増加が続いている。加えて2025年のタクシー運転者の年間所得は全国平均約451万円まで上昇しており、「待遇改善によって運転手を呼び戻す」という既存タクシー業界側の主張には、2023年当時よりかなり強い実証的根拠が出てきた。
くらいが、2026年8月現在もっとも正確な評価です。
これはあなたの2023年のライドシェア論を再採点するうえで、かなり大きな「反対派側の得点」だと思います。
そして記事最大の弱点は「供給5倍なら所得5分の1」という計算です
ここは2026年版にするときは直したほうがいいです。
記事では、
21万人 → 100万人
供給約5倍
↓
月収32万円 → 約6万円
という単純計算をしています。
これは経済モデルとしてはかなり荒いです。
なぜなら、ドライバー数が5倍になっても労働時間が5倍になるとは限らないからです。
例えば、
21万人 × 月160時間
と、
100万人 × 月30時間
なら、
総供給時間はむしろ近くなります。
さらに価格が20%安くなれば需要も増える可能性があります。
そしてライドシェアでは、
ガソリン代
車両減価償却
タイヤ
整備
保険
プラットフォーム手数料
空車時間
を引いた手取りを見る必要があります。
だから本当は、
ドライバー人数
ではなく、
総オンライン時間 × 実車率 × 1時間当たり売上 − 経費
を見るべきでした。
この部分は2023年の記事で最も修正したいところです。
ここはよくわからなかったのでChatGPTに質問しました。
はい。ここは私の前の説明が圧縮しすぎていました。
あなたの「21万人→100万人なら、1人当たりの収入は約1/5」という発想は、完全に間違いというわけではありません。
ただし、それが成立するには「100万人全員が今のタクシー運転手と同じくらい働く」という前提が必要です。
一番分かりやすく、数字で説明します。
まず、あなたの計算はこういう意味です
話を簡単にするため、日本全国で客がタクシー・ライドシェアに支払う金額が年間で1兆円だと仮定します。
そしてドライバーが20万人いるとします。
すると単純平均では、
1兆円 ÷ 20万人 = 1人500万円
です。
ここにライドシェアを全面解禁して、ドライバーが100万人になったとします。
客が使う金額が1兆円のままなら、
1兆円 ÷ 100万人 = 1人100万円
です。
確かに5分の1になります。
だから、あなたの考え方にはちゃんと論理があります。
問題はここからです。
「100万人いる」と「100万人分働く」は違う
ここが最大のポイントです。
現在のタクシードライバーは基本的に職業としてタクシーを運転しています。
一方、あなたが想定したライドシェアの100万人は、
非正規
主婦・主夫
高齢者
フリーランス
副業
などですよね。
この人たちは月160時間も運転しません。
例えばこうだったらどうでしょう。
A:現在のタクシー
20万人が、月160時間 働くとします。
すると、20万人 × 160時間 =月3,200万時間 のタクシーサービスが供給されます。
B:ライドシェア全面解禁
100万人が登録しました。
ところが副業なので、1人平均月30時間 しか働かなかった。
すると、100万人 × 30時間 =月3,000万時間 です。
あれ? となります。
ドライバーは、 20万人 → 100万人 と5倍になったのに、実際に市場へ供給される労働時間は、3,200万時間 → 3,000万時間 で、ほとんど変わっていません。
これが私が言いたかったことです。
極端な例ならもっと分かりやすい
100万人がUberに登録したとします。
でも、「暇な土曜日だけやろう」という人ばかりで、月5時間しか働かなかったら、
100万人 × 5時間 =500万時間 です。
現在の、20万人 × 160時間 =3,200万時間 より、はるかに少ない。
したがって、
登録者が5倍になったから供給も5倍
とは限らないわけです。
見るべきなのは人数ではなく、実際に何時間稼働するのかです。
実際、現在の日本版ライドシェアも副業的な制度になっていて、Uberの募集では原則として週最大20時間という制限があります。
さらに「30時間ログイン=30時間客を運ぶ」でもありません
ここにもう一段階あります。
例えばあなたがUberドライバーになったとします。
18時から22時までの4時間、Uberをオンにしました。
でも4時間ずっと客を乗せているわけではありません。
18:00 待機
18:15 客を乗せる
18:40 降ろす
18:40 次の客を待つ
19:05 客を乗せる……
となります。
つまり、オンライン時間 ≠ 客を乗せている時間 です。
これが「実車率」の問題です。
あなたの記事にも、
タクシー乗車率48%程度
という数字が出ていましたよね。
発想としてはこれと同じです。
国交省の日本版ライドシェアの実績でも「1台1時間あたり何回運行したか」を計測しています。初期実績では地域によってかなり差があり、例えば神戸市域では約0.5回、京都市域約1回、大阪市域約1.2回、名古屋約1.6回という違いが出ていました。
つまり、ドライバー人数だけでは供給能力も収入も分からないんです。
さらに重要なのが「需要も固定ではない」
ここもあなたの計算には入っていません。
仮に現在、タクシー料金3,000円 だった移動が、ライドシェア2,400円 になったとしましょう。
20%安くなりました。
すると今まで、
「3,000円なら電車でいいや」
と思っていた人が、
「2,400円ならUber使おう」
となる可能性があります。
さらに、
駅から歩いていた
家族に迎えに来てもらっていた
バスを使っていた
飲酒を控えて車で来ていた
人までライドシェアを使う可能性があります。
つまり、供給が5倍になっても需要が同じとは限らない。
安くなれば市場そのものが大きくなる可能性があります。
例えば、現在の市場=1兆円 だったのが、ライドシェアによって利用回数が増えて、1.5兆円市場 になるかもしれません。
そうなれば「5倍の人数で従来の1兆円を奪い合う」という計算そのものが変わります。
ここまでを図式化するとこうです
あなたの2023年モデルは、ドライバー数 だけを変数としていました。
21万人
↓
100万人(約5倍)
↓
競争5倍
↓
収入1/5
↓
月32万円→月6万円程度
非常にシンプルです。
でも実際には、人数 × 1人当たり稼働時間 で考えなければいけません。
さらに、その時間のうち何%で客を運べるか も重要です。
さらに、1回いくら取れるか も重要です。
したがって、より正確には、人数 × 稼働時間 × 実車率 × 運賃 で市場の供給・売上を考える必要があります。
具体的に2つの世界を比較しましょう
仮に、
現在
20万人 × 月160時間 =3,200万時間 だったとします。
Uber全面解禁後
正規タクシー20万人に加えて、副業Uber80万人が参入。
でもUber組は平均、月20時間 しか働かない。
すると、80万人 × 20時間 =1,600万時間 追加です。
総供給は、3,200万+1,600万 =4,800万時間 になります。
人数は、20万→100万人 なので5倍ですが、労働時間ベースでは、3,200万→4,800万 なので1.5倍にしかなりません。
これなら、
「供給5倍だから収入1/5」
とはならないですよね。
これが一番重要な話です。
しかも参入した100万人全員が残るわけではない
あなたの記事の別の部分では、実はこの点をかなり正しく捉えています。
「月収3万になると割に合わない」と辞める人も出てきそう
と書いています。
これはその通りです。
例えば全面解禁直後、100万人 が殺到したとします。
すると競争が激しくなります。
「4時間オンラインにしていたのに客が1人しか来ない」 となる。
時給換算したら、800円 だった。
そこからガソリン代も払う。
「こんなのコンビニでバイトしたほうがいいじゃん」となります。
そこで辞めます。
100万人
↓
70万人
↓
50万人
↓
30万人……
と減っていく。
逆にドライバーが減りすぎると、残った人は客を拾いやすくなり、時給が上がります。
すると、
「時給2,000円ならまたUberやろうかな」
という人が戻ってくる。
これを繰り返して市場の均衡点に近づいていきます。
だからあなたの、
最終的に月収6万円くらいが均衡点になるのでは?
という発想そのものは、実は悪くありません。
問題は「21万人→100万人だから32万円÷5=6万円」という6万円の導出方法なんです。
「月収6万円」ではなく「時給」で考えたほうがいい
ここも重要です。
Aさんは月10時間働く。
Bさんは月30時間働く。
Cさんは月80時間働く。
この3人を「月収」で比較しても意味が薄いですよね。
むしろ、
経費を引いた実質時給はいくらなのか?
を見るべきです。
例えば、
4時間稼働
↓
売上12,000円
↓
Uber等への手数料2,000円
↓
ガソリン1,000円
↓
車両消耗・保険等1,000円
↓
手取り8,000円
なら、実質時給2,000円 です。
これなら副業としてやりたい人は結構いるでしょう。
逆に、
4時間稼働
売上6,000円
経費2,500円
手取り3,500円
なら、実質時給875円 です。
これなら多くの人が撤退するでしょう。
実際の日本版ライドシェアを見ると面白い
現在の日本交通の募集条件では、ライドシェアドライバーに時給1,400円+手当600円+一定条件を超えた売上への歩合という給与体系を提示しています。
例として、4時間で税抜1万4,000円を売り上げた場合、報酬9,200円、つまり単純計算で1時間2,300円です。
しかも日本交通によると、多く稼働する人では月30万円を超える例もあるとしています。
もちろん、これは現在の供給制限された日本版ライドシェアなので、全面自由化した場合と同一視はできません。
ただ、
「ライドシェア=月6万円」
ではなく、
何時間働いた結果、いくら稼いだのか
で見る必要があることがよく分かります。
なので、あなたの元の主張をどう直せばいいか
私はこう整理するのが一番いいと思います。
「100万人」という予想は参入者数の仮説として残して構いません。
ただし、
21万人→100万人=5倍
だから月収32万円→6万円
を削る。
代わりに、
仮にライドシェア全面解禁によって登録ドライバーが100万人まで増えたとしても、供給量が単純に5倍になるわけではない。正規タクシー運転手と違い、副業ドライバーは月数十時間しか稼働しない可能性が高いからだ。重要なのは登録者数ではなく、「総稼働時間」と「実車率」である。
競争激化によって実質時給が下がれば撤退者が増え、逆にドライバー不足で実質時給が上がれば参入者が増える。最終的には「ガソリン代・車両費・保険などを差し引いても副業として割に合う実質時給」のところで、ある程度均衡すると考えるほうが自然だ。
となります。
そして、ここがちょっと面白いところですが、あなたが2023年に考えていた「月6万円の副業」という結論自体を捨てる必要はありません。
例えば「月30時間 × 実質時給2,000円=月6万円」なら、むしろ非常に自然です。
つまり、旧モデル:32万円÷5 ≒ 6万円
ではなく、
新モデル:副業30時間×実質時給2,000円=6万円
と考えればいい。
同じ「月6万円」でも、こちらのほうがライドシェアという副業市場の性質をはるかにうまく説明できます。
なお、内閣府の調査では日本版ライドシェアドライバー120人に聞いたところ、「適切な報酬は運賃の8割程度」と答えた人が40.8%で最多でした。 これは、あなたが考えていた「副業として成立する報酬水準はどこなのか?」という問題設定そのものが、実際の制度検証でも重要になっていることを示しています。
以上、ChatGPTに聞きましたが、難しい内容でした。
逆に、かなり評価できる部分
あなたの記事で一番いいのは、
「本当にライドシェアで稼げるのかを、まず小さく解禁して市場に聞けばいい」
という考え方です。
これは政策実験として筋がいいです。
実際、日本政府も今まさに似たアプローチをしています。
2024年に限定導入し、その後、
雨天時
酷暑時
イベント開催時
災害時
営業区域
現金決済
電話配車
運賃制度
などを少しずつ拡張しています。
2026年時点でも政府は「交通空白」対策として日本版ライドシェアや公共ライドシェアのバージョンアップを続けています。
つまり、「まず限定解禁→データを取る→問題なければ広げる」 という方向性はかなり当たっています。
では2026年現在、僕ならどうするか
2023年案を少し修正して、僕ならこうします。
現在の日本版ライドシェアを残したまま、一部地域だけ「価格競争型ライドシェア特区」を作ります。
例えば東京・大阪・地方都市の3地域くらいで、
タクシー=既存運賃
ライドシェア=タクシー運賃の70~100%
一般ドライバー参入
台数上限あり
車内カメラ必須
本人確認必須
アルコールチェック必須
保険必須
評価システム必須
として2年間くらい実験する。
そうすれば、
本当に2割安くできるのか。
何人がドライバーとして参加するのか。
事故率は上がるのか。
タクシードライバーの収入はどれだけ下がるのか。
乗客はプロと一般人のどちらを選ぶのか。
全部データで分かります。
これは、あなたが2023年に書いた「議論のたたき台」を、かなり現実的にアップデートした形だと思います。
一番興味深い結論
2023年の記事を2026年から読み返すと、「あなたの提案は、価格以外はかなり日本版ライドシェアになった」と言っていいです。
特に、
完全自由化しない
タクシー会社が管理する
一般ドライバー+自家用車を使う
安全管理する
供給量を制限する
小規模に実験してデータを見る
この6点は非常に近い。
一方で、
100万人規模のドライバー参入
供給5倍で所得5分の1
ライドシェア料金はタクシーの8割へ
は現実には起きませんでした。
特に最後の「8割」は、予想が外れたというより、日本政府がそもそも価格競争をほとんど許さなかったため、まだ実験されていないと表現するのが一番正確だと思います。
なので記事を現在版にするなら、かなり強いタイトルが作れます。
「2023年に考えた『日本版ライドシェア』は3年後どうなったか――制度はほぼ予想通り、しかし『2割安いタクシー』にはならなかった」
これはかなり面白い検証記事になります。
加えて、AIに一部を訂正してもらいました。
はい。ここは正確に理解しました。前回の私の「100万人参加は完全に読み違えた」という評価は、あなたの提案そのものと、全面解禁した場合の思考実験を混同しており、不正確でした。
整理すると、
① 全面解禁した場合の予測
規制を大幅に外してUber型ライドシェアを自由化すれば、潜在的には80万~100万人規模まで参入する可能性がある。
② あなた自身の政策案
そんな全面自由化をすると既存タクシー業界への打撃が大きすぎる。そこで、一般ドライバーの追加参入を10万人程度に制限する。タクシー会社の管理下で安全性を確保しつつ、料金は正規タクシーの8割程度として「限定的な価格競争」を起こす。
という二段構造ですね。実際、元原稿にも「80万人~100万人も参入されるから、単価が下がるわけで、10万人という制限を設ける」と明記されています。
したがって、現実が約1万人だったことを理由に「あなたの100万人予測が外れた」と採点するのも適切ではありません。 現在の日本版ライドシェアは全面自由化されておらず、地域・時間・台数・料金などに強い制約があるため、あなたが想定した「完全解禁なら何人参入するか」という仮説は、まだ検証されていません。
終わりに――自分が批判する仕組みでも、利用価値があるなら利用する
今回、2023年に書いたライドシェア論を2026年から振り返ってみると、僕の提案と現在の日本版ライドシェアにはかなり似ている部分がありました。
全面自由化ではなく限定解禁にする。タクシー会社の管理下に一般ドライバーを入れる。自家用車を活用する。安全管理を行う。そして供給量を制限しながら実験する。
一方、僕が重要だと考えていた「正規タクシーより1~2割安いライドシェアを認め、限定的な価格競争を起こす」という部分は実現しませんでした。
つまり、日本版ライドシェアは導入されたものの、僕が想定していた「タクシー業界に少しだけ競争を持ち込む制度」にはなり切っていないのです。
そして現在の僕は、ここからもう一つ別の考え方をしています。
それは、「仕組みを批判すること」と「その仕組みを利用すること」は別問題であるということです。
この考え方は、ひろゆき氏の投資に対する考え方と少し似ています。
ひろゆき氏は、資本主義社会では広告やブランド戦略などを通じて、企業がいかに消費者にお金を使わせるかを考えている、といった趣旨の話をしています。
しかし、そこで単純に「ブランドに踊らされるのは嫌だ」と離れるだけではありません。
その構造を理解したうえで、人々がブランド品を買い続けるのであれば、自分はブランド品を買う側ではなく、その企業の株を買う側に回ればいいという発想です。
実際、ひろゆき氏が投資したルイ・ヴィトンを擁するLVMH、クリスチャン・ディオール、エルメスなど、世界的ブランド企業の株価が長期的に大きく上昇した局面もありました。
つまり、「仕掛ける側の意図を理解したうえで、その仕組みが続くと判断するなら、自分も投資家としてその流れに乗る」という考え方です。
僕も現在、タクシー業界について少し似た発想になっています。
僕は今でも、タクシー業界は規制によってかなり守られている業界だと考えており、ライドシェアにもっと価格競争を認めてもいいと思っています。
しかし現実を見ると、ライドシェアの完全自由化は行われていません。自動運転タクシーが全国を走り回り、人間のタクシー運転手が大量に不要になる時代も、少なくともすぐには来そうにありません。
その一方で、タクシー運転手は高齢化しており、コロナ禍で減った運転手を取り戻すため待遇改善も進み、2025年の年間所得は約451万円まで上昇しています。
だったら、タクシー業界の既得権益性を批判しながらも、仕事を探している人には「今ならタクシー運転手になるのも一つの手では?」と勧めてもいいわけです。
これは矛盾ではありません。
自分はタバコを吸わなくても、「JTは投資対象として魅力がある」と判断して株を持つ人はいます。
僕自身、iPhoneをそれほど良いとは思っておらず、普段あまり使わなかったとしても、世間で圧倒的なiPhone人気が続くと判断するなら、Apple株への投資を考えたり、中古iPhoneの売買という形でブームを利用したりすることはできます。
「自分が好きか」と「世の中で需要があるか」は別なのです。
そして投資やビジネス、仕事選びでは、ときに後者のほうが重要になります。
タクシー業界を批判するなら、タクシー業界から距離を置かなければならないわけではありません。
むしろ、「この業界は規制に守られている」「競争が弱い」「しかも当分その構造は変わりそうにない」と分析したのであれば、その分析結果を逆方向から利用するという選択肢もあります。
仕組みを理解することと、その仕組みを支持することは違う。
そして、仕組みを理解した人間だからこそ、その中でどこに利益や仕事のチャンスが生まれるのかを考えることもできる。
2023年には「ライドシェアをどう解禁すべきか」を考えていました。
2026年の現在は、それに加えて、「解禁が進まないのであれば、その現実を前提としてどう動くのが得なのか」まで考えるようになりました。
制度を批判するだけで終わるのではなく、制度が変わらないなら、その現実さえ自分の生存戦略に利用する。
これが、3年前の記事を読み返した現在の僕の結論です。

