どうも。
突然ですが、これまで僕は少子化対策として、「結婚にはこだわらないが、子どもは欲しい女性」に集中して支援する案を考えてきました。
日本では婚外出生が極めて少ない一方、「未婚の母でも子どもを産みたい」と回答する女性も一定数います。
ならば、すでに子どもを育てているシングルマザーを含め、こうした層に対して月3万円相当の家事・育児支援を提供し、「一人でも子どもを育てられる社会」を作れば、新しい出生ルートを開拓できるのではないか。
しかも現金ではなく、家事代行・送迎・見守りなどにしか使えないポイントを付与し、マッチングアプリによって余っている労働力と結びつける。東京都限定で小さく実験し、成功すれば全国展開する――という構想でした。
発想としては、なかなか面白いと思っていました。
ところが、実際に数字を入れて費用対効果を計算してみると、少子化対策としてはかなり筋が悪い案であることが分かりました。
東京都の母子世帯すべてに月3万円分を提供すれば、年間約520億円。それに対して、かなり単純化した仮定では追加出生は約370人にとどまり、追加出生1人を生み出すための政策費用は約1.4億円にもなります。
一方、東京都の婚活サービス「TOKYO縁結び」は、はるかに小さな予算で多数の成婚を生み出しています。もちろん「成婚」と「政策による追加出生」を単純比較することはできませんが、ここまで数字が違えば、自分の案を再検討するには十分です。
今回はあえて、自分で考えた少子化対策案が、計算してみたらダメだった話を書きます。
そして、この失敗から逆に見えてきたのが、少子化対策では「良さそうなアイデア」を考えること以上に、市場規模、対象者の反応率、出生までの転換率、そして追加出生1人あたりのコストを計算することが重要なのではないかということでした。
「 2021年の母子世帯は119.5万世帯であり、仮に119.5万世帯すべてに月3万円を追加すると、119.5万 × 3万円 × 12カ月 ≒ 年4302億円です。
結婚にはこだわらないが、子どもは欲しい女性がどれくらいいるかですが、ChatGPT調査では「未婚の母でも子どもを産みたい」12.8%であり、日本の婚外出生は、わずか2%台であることからも夫がいなくても子どもを産むという決断をいかにできないかが分かります。(日本人は不安遺伝子が強いです)
この12.8%全員が実際に産むわけではなく、現実には、
「お金がない」
「仕事と両立できない」
「一人で育児できない」
「住宅がない」
「親に反対される」
「相手がいない」
「社会的な目が怖い」
などで大量に脱落します。
1人で子どもを産んで育てていくのはかなりの茨の道であり、誰かの継続支援が欠かせませんし、働きながらも多いでしょうし(調べてください)、となったら子どもにかまっていられず、だからこそ外部の支援員が必要になります。
18歳までの子どもがいるシングルマザーに支援するとして、仮に18歳まで育てました!で、その女性は40歳になっていました、支援員の力がないと生きにくい(支援員の旨味を知ってしまった)となると、さらに頑張って産み(2人目)、また18年継続して支援を受けるケースもありそうです。(また、養子縁組の問題はどうするか問題もあります)
支援員サービスを利用したモラルハザードが起きにくい理由として、現金給付ではなく、ポイントであり、他に使いみちがない点があります。(また、毎月ポイントは付与されますが、繰り越すことも可能にします)
モラルハザードが起きそうな点として、18歳以下の子どもがいる夫婦が離婚してシングルマザー化する誘因があったり(モラハラに耐えられないなど)、クズ男に騙されて結婚して子どもをもうけてその後、浮気などされて離婚してシングルマザー化で、そのクズ男がこの仕組みを利用して結婚し続けるがありますが、それは養育費の証明書を作ることとアプリに登録必須にすることで再婚しにくくさせます。(同時に、現在の養育費の未払い問題の解消に向かわせます)
そうなると、単純計算ではいかず、予算がもっと膨らむ可能性が高いです。
また、支援員マッチングアプリの制作費として、ClaudeやCodexを利用してコストダウンして作ったとしても5000万ぐらいかかるとして(そんなに見栄えがよくなくてよく、セキュリティ問題だけ重要)、シングルマザーに周知し(便利なものがあると知ったら使わない人は少数派)、あとはそれに登録する労働者がどれくらいいるかです。
登録者が少ない場合も想定し、国が雇う非正規社員もアプリに登録させます。
この問題点は順番であり、ある程度の準備が整ったら(アプリに登録者がいる。月額のポイント額も決まるなど)、シングルマザーは使い始めますが、これこそまず東京都限定で実験すべきところでしょう。
登録者も集まらず、不発に終わる可能性もあるわけで、だからこそアプリ開発は5000万程度でいいのです。
シングルマザーが使い始めて、便利だ!とか生活が楽になったとか、2人目も産みたくなったなどの声が聞かれたときこそ、全国デビューかもしれません。(もしくは中核都市など限定。地方だと長距離の車移動が多くなり、非効率です)
また、シングルマザーコミュニティ(情報交換の掲示板みたいなところ)はそれこそアプリより開発が楽で500万以下ぐらいでできそうですかね?(これはコスパがよく、やる意味が大いにあります。シングルマザー限定で、合成の誤謬問題が起きない少数者だからこそ旨味が出る節約術など抜け道情報を共有します。全体に広がると不都合になるのが合成の誤謬です)
そして成果として、119.5万 × 3万円 × 12カ月 ≒ 年4302億円のうち、仮に「未婚の母でも子どもを産みたい」12.8%のうち、2%でも子どもを産んでくれたら、出生率はどうなりますか?東京都限定で計算してください。
費用対効果も計算してください。
これらについて意見や考察をしてください」
ここからはChatGPTに聞いた回答です。
かなり面白い案です。調べ直すと、「少子化対策としては効果が大きいとは限らないが、東京都で小さく実験する政策としては筋がいい」という評価になります。
ただ、数字を入れると「月3万円分を既存シングルマザー全員に付与する」という設計は、出生数だけをKPIにすると意外と費用対効果が悪くなります。
まず前提として、シングルマザーに「時間」が必要だという問題意識にはかなり根拠があります。東京都の2022年度調査では、母子世帯の母の92.7%が就業しており、正規職員43.2%、パート・アルバイト32.1%です。全国でも母子世帯の母の就業率は86.4%です。
つまり「一人で子どもを育てながら働く」という層が圧倒的多数なので、家事・育児の外部化との相性はいいです。
しかも東京都の調査では、ひとり親になってから困りごとがあった世帯は79.7%。現在働いていて転職希望がある人の理由には「もっと子どもと関わる時間がほしい」も26.5%あります。
したがって、「現金ではなく時間を買えるポイント」という設計は、実際の負担構造をかなり直接的に攻めています。
東京都だけで計算すると
東京都の推計母子世帯数は、2021年約11万4,500世帯、2024年では約14万4,500世帯です。ただし2022年に推計に使う母子世帯出現率が更新されているので、この増加をそのまま「シングルマザーが急増した」と読むのは危険です。
現在に近い14万4,500世帯で試算しましょう。
全世帯に月3万円分のポイントを付与すると、
14万4,500 × 3万円 × 12か月
= 約520.2億円/年
です。
そして、提示された仮定、
12.8% × そのうち2%が追加出生
なら、
12.8% × 2%=0.256%
です。
14万4,500人に当てはめると、
約370人の追加出生
になります。
東京都では2024年に8万4,207人が出生し、TFRは0.96でした。
単純比例で370人増えると、
8万4,207人 → 約8万4,577人
なので、出生数は約0.44%増加。
TFRも概算では、
0.960 → 約0.964
程度です。
つまり、この仮定では出生率を劇的に動かすほどではありません。
さらに出生数だけで費用対効果を測ると、
520億円 ÷ 370人 ≒ 1人当たり約1.41億円
となります。
これはかなり高いです。
実は数学的には母集団の大きさに関係なく、
年間36万円 ÷(12.8%×2%)
= 約1億4,063万円/追加出生1人
になります。
なので、「2%しか実際の出生に転換しない」という仮定なら、少子化政策単独としてはコスパが良いとは言えません。
ただし、ここには大きな但し書きがあります。
12.8%という数字を、この計算に使うのはかなり荒い
この「未婚の母でも子どもを産みたい12.8%」は、公的な全国調査ではありません。
2017年の働く女性243人への民間調査で、31人がそう回答した数字です。
ですから、
「日本女性の12.8%がシングルマザーでも出産したい」
とは言えません。
さらに、この質問は「既存のシングルマザーが2人目を欲しいか」を聞いたものでもありません。
したがって今回の370人という数字は、あくまで政策思考実験です。
むしろ実証実験では、
このサービスを利用したことで「もう1人子どもを持ってもいい」と思うようになったか
を直接測ったほうがはるかに有用です。
なお、「日本人は不安遺伝子が強いから婚外出生が少ない」という部分も、政策の根拠には使わないほうがいいです。遺伝子多型の集団差と、日本の婚外出生率の低さを直接因果で結びつける十分な証拠はありません。婚外出生の低さには婚姻規範、制度、所得、家族観、社会的評価など複数の要因があります。
それでも東京都実験はかなり意味がある
ここが面白いところです。
最初から520億円を使う必要はありません。
東京都にはすでに「ひとり親家庭ホームヘルプサービス」があります。家事・育児が困難なひとり親家庭にヘルパーを派遣する制度です。ただし利用条件があり、市区町村によって違いもあります。
つまりあなたの案は、
ゼロから福祉制度を発明するのではなく、既存制度をUber型・ポイント型に改造して利用対象を広げる
と考えるとよいです。
これはかなり実験しやすい。
たとえば最初は東京都全体14万世帯ではなく、
1万人だけ
にします。
1万人×月3万円なら、
年間36億円。
さらに最初は月1万円分なら、
年間12億円。
このくらいなら、政策実験としてはかなり小さくできます。
しかも一気に全東京都で始めず、23区の数区+多摩地域の都市部などで段階導入すれば、
利用地域と未導入地域を比較
できます。
「満足しました」というアンケートだけではなく、
就業継続率、所得、子どもとの時間、支援員利用時間、2人目希望率、妊娠率、出生率
まで数年追えば、本当に効果があるかかなり分かります。
この小規模→効果検証→全国展開という順番は、これまで話してきた「外したときのダメージを小さくする政策」とかなり一致しています。
ポイント制はかなりいい。ただし繰越には罠がある
月3万円を現金で渡すより、
家事・育児・送迎・見守りなどにしか使えない3万ポイント
のほうが、政策目的からの流出はかなり減ります。
塾やブランド品や投資には使えないので、
「政府支出→育児負担軽減」
の経路がかなり明確になります。
一方、無期限繰越は少し危険です。
18年間まったく使わなければ、
3万円×12×18=648万円分
貯まります。
後から一斉に使われると政府に将来債務が残るうえ、支援員需要が急増する可能性があります。
なので私は、
繰越可能だが上限12~24か月分
くらいにします。
あるいは古いポイントから徐々に減価する。
これなら「今月使わなきゃ損」という無駄遣いも防げます。
2人目を産めば支援期間が延びる問題
これは面白いモラルハザードですが、私はむしろ政策目的と一致する部分もあると思います。
たとえば22歳で出産し、40歳で子どもが18歳になった。
その女性が、
支援があるならもう1人欲しい
となれば、それはまさに出生インセンティブです。
ただし40歳以降では生物学的に出生可能性そのものが低下するので、これが大規模に発生するとは考えにくいでしょう。
制度設計では、
世帯単位月3万円
なのか、
子ども1人につき月3万円
なのかで財政が全く変わります。
私は前者を推します。
子どもが2人になっても月3万円。ただし一番下の子が18歳になるまで利用可能。
これなら2人目で18年間延長されても、月額が2倍にはなりません。
2人を時間差で育てれば最大支援期間は長くなるので出生へのニンジンにはなりますが、財政爆発はかなり抑えられます。
養子は別建てにしたほうがいい
これは以前の里親・養子縁組の話とも同じです。
「ひとり親家庭の時間支援」という福祉目的なら、養子も実子と同じように対象にするのが自然です。
しかし、
少子化対策の成果として出生数にはカウントしない。
ここを分ければいい。
つまりKPIを、
追加出生と
ひとり親家庭の生活改善
の2本立てにします。
そうすれば、養子家庭への支援も「政策失敗」にはなりません。
離婚誘因は確かにあるが、3万円分のサービスなら比較的小さい
現金3万円なら、
離婚すると年間36万円もらえる
になります。
しかし、
離婚すると家事・育児サービスを月3万円分使える
なら、換金価値はかなり低い。
したがって偽装離婚への誘因はかなり弱くなります。
ただし完全には消えません。
例えば別居していない元夫が実質的に家事をしているのにポイントまで使う、といった問題はあり得ます。
だから、
住民票だけでなく実態確認、同居者確認、ポイント売買禁止、親族を支援員として利用する場合の制限
などが必要になります。
養育費履行証明との接続も面白いです。
ただ、「養育費未払いだから婚活アプリに登録できない」という完全なブラックリストより、
養育費履行済みバッジ
のようなポジティブ認証から始めるほうが法的・社会的には扱いやすいでしょう。
支援員が集まらない問題こそ、この実験の核心
私はここが最大のリスクだと思います。
需要はおそらくあります。
東京都には推計14万世帯以上の母子世帯があり、母親の92.7%が働いています。
でも、
サービスを買うポイントを配っても、売る人がいなければ意味がない。
これは、今まで議論した「現金だけ配っても住宅や教育の供給は増えない」問題そのものです。
だから、
利用者募集→支援員募集
ではなく、
支援員を一定数確保→利用者へ開放
の順番が正しいです。
国が非正規社員を直接雇うというより、自治体・社会福祉法人・シルバー人材・民間事業者などによる公的バックアップ供給枠を用意しておくほうが運営しやすいでしょう。
民間マッチングで人が集まれば公的供給を減らす。
集まらなければ公的供給で最低限を埋める。
これは、
市場+公的ラストリゾート
という設計になります。
アプリ5000万円、掲示板500万円はどうか
実験用MVPなら5000万円は十分あり得る金額だと思います。
ただし、本番の行政サービスとして、
本人確認、ひとり親資格確認、支援員本人確認、決済・ポイント管理、犯罪・事故対応、ログ保存、チャット、位置情報、安全管理、カスタマーサポート、監査
まで入れると、5000万円で完成版を作るのはかなり厳しいでしょう。
ClaudeやCodexでコード作成費を削れても、本人確認・セキュリティ・監査・運用・法務のコストはAIでゼロになりません。
なので、
5000万円=小規模実証用MVP
と考えるなら妥当。
成果が確認できてから数億円規模で本番化、という順番がいいと思います。
ちなみに東京都はすでにひとり親向けポータルの運用に2026年度700万円を計上しています。
したがって、単純なコミュニティ掲示板なら初期500万円以下も技術的には十分可能でしょう。
ただし行政が運営するなら、問題は開発費より、
本人確認、荒らし、詐欺、誹謗中傷、個人情報、違法な制度悪用情報、モデレーション
です。
「合法的な節約術・公的制度・地域情報・育児ノウハウを共有する場」は非常に有用ですが、「抜け道」を公的サービスが推奨する形にはしないほうがいいです。
この案の一番いいところ
私は少子化対策としての370人より、こっちを評価します。
仮に東京都で実験して、
出生数はほとんど増えなかった。
しかし、
シングルマザーの就業継続↑
自由時間↑
子どもとの時間↑
生活満足度↑
所得↑
となったら、少子化対策としては弱くても、福祉・労働政策として成功です。
逆に出生も増えれば、大成功。
つまりこの政策は、
失敗しても残る便益が大きい。
これが1000万円一律給付との大きな違いです。
ただし、今の「全母子世帯に月3万円」という設計では、仮定上の追加出生1人当たり約1.4億円になるので、最初から520億円を投入するのは勧めません。
私なら、
東京都の数千~1万世帯、年間10~30億円程度から開始
→ 支援員供給量・利用率・生活改善を1~2年検証
→ 出産希望・実出生への効果も追跡
→ 効果が強ければ対象拡大
とします。
この案の本質は、「シングルマザーに3万円配る」ことではなく、「3万円という購買力を使って、これまで市場に出てこなかった家事・育児労働を掘り起こす社会実験」だと思います。
ここまで整理すると、以前考えていたマッチングアプリというアイデアの意味もかなり明確になります。現金給付ではなく、需要と遊休労働を同時に接続して供給そのものを増やすところが、この案の一番独特な部分です。
「ということはコスパを考えれば、TOKYO縁結びは2023~2025年度の3年間の結婚支援事業全体:約8億円、そのうち、「結婚支援マッチング事業」:約3.6億円で、成婚265組ということは子どもをもうける可能性が高く、僕の案だと約520億円も使って約370人の追加出生だから筋が悪すぎるとわかりました。
やはりマーケットが大きい(既婚者)を攻めたほうが効率が良いのは当然で、「未婚の母でも子どもを産みたい」12.8%市場を攻めても非効率です。
商売でも市場規模が大きい場所を攻めれば(衰退産業よりも成長産業)、パイが大きいので2番手、3番手でもおこぼれは大きいです。
壮大な企画の失敗事例として記録に残します。しかし、婚姻率を上げるのは限界があるようで、なかなか厳しいようです。これについて意見や考察をしてください。」
ここからはChatGPTに聞いた回答です。
はい。この比較をすると、シングルマザー集中支援を「出生数を増やすための政策」として評価した場合、かなり筋が悪いという自己評価でよいと思います。ただし、一つ重要なのは、TOKYO縁結びの「265組」と、先ほど試算した「370人」は同じ指標ではないことです。
TOKYO縁結びの265組は成婚数であって追加出生数ではありません。一方、370人は「政策がなければ生まれなかった追加出生」という仮定値です。したがって、
3.6億円÷265組 ≒ 成婚1組136万円
520億円÷370人 ≒ 追加出生1人1.4億円
をそのまま比較することはできません。
仮にTOKYO縁結びの成婚265組から平均1人の追加出生が生じれるなら、ものすごく効率的ですが、「アプリがなくても別の相手と結婚していた人」もいるはずです。政策の真の効果を見るには、TOKYO縁結びによる純増婚姻数→そこから生じた純増出生数を測る必要があります。
それでも、方向性としてはあなたの結論にかなり賛成です。
「12.8%市場」の問題は、パイの小ささ以上にコンバージョン率
今回の思考実験の収穫はここだと思います。
「結婚にはこだわらないが子どもは欲しい女性」は、一見すると未開拓市場です。
ところが、
12.8%
↓
実際に一人で産む決断
↓
妊娠
↓
出産
↓
一人で育てる
と進むたびに脱落していきます。
つまりマーケティングでいえば、
潜在顧客はいるが、購入までのフリクションが猛烈に大きい市場
です。
月3万円分の育児サービスは、そのフリクションの一部分しか取り除けません。
これに対して、すでに結婚した男女は、
相手がいる+共同生活している+少なくとも結婚する意思決定を済ませている
ので、出産までのステップが少ない。
だから「出生数だけをKPIにする」なら、
①既婚で子どもを希望している層
②結婚を希望していて相手がいない層
③結婚不要だが子どもを希望する層
の順に、一般にはコンバージョンしやすいと考えるのが自然でしょう。
これはかなり商売に似ています。
「市場規模 × 政策への反応率 × 出生までの転換率」
で考えないといけないわけです。
ただ、「大市場を狙えばよい」にも罠があります
ここで前に調べた韓国・シンガポールの失敗が効いてきます。
既婚者という巨大市場全体に、
子ども1人1000万円!
とやると、今度は政策がなくても産む人にも大量に配ることになります。
つまり、
小市場を狙う→対象者は少ないが転換しにくい
一方、
巨大市場全体を狙う→対象者は多いが死重損失が巨大
になります。
だから最適解は単純に「大市場」ではなく、
大きな市場の中から、政策によって行動が変わりやすい境界層を探す
ことだと思います。
たとえば、
「本当は第2子が欲しいが保育・住宅・所得を理由に諦めている夫婦」
です。
すでに第2子を産むと決めている夫婦に100万円配っても追加出生はゼロ。
絶対に第2子を望まない夫婦に100万円配ってもゼロ。
一番価値があるのは、
「あと一押しなら産む」
という層です。
これは以前話していた「最後のボトルネックを取り除く」という考え方そのものです。
TOKYO縁結びが面白いのも、この構造
TOKYO縁結びは、少なくとも登録する時点で、
「結婚に興味がない人」
をかなり排除できます。
つまり最初から顧客選別ができている。
これは1000万円一律給付との大きな違いです。
ただし婚姻政策にも限界があります。
結婚希望者をマッチングさせれば最初は比較的成果が出ても、規模を拡大すると、
条件のミスマッチが大きい人、結婚意欲が弱い人、コミュニケーション上の問題を抱える人
など、マッチング難度の高い層の比率が上がっていくでしょう。
経済学的には限界費用が上昇していくイメージです。
最初の1,000組を成立させるコストと、最後の1,000組を成立させるコストは違う。
だから「婚姻率を上げれば解決」も、どこかで頭打ちになるはずです。
だから今回の「失敗案」は結構価値がある
むしろ今回のシングルマザー案の思考実験から、少子化政策を評価する簡単な式ができます。
対象人口 × 政策による行動変化率 × 出生転換率
÷ 政策総費用
です。
そして重要なのは「政策がなくても産んだ人」を成果に入れないこと。
ひろゆき氏の1000万円案にも、シングルマザー案にも、TOKYO縁結びにも同じ物差しを当てられます。
この物差しで見ると、シングルマザー支援は福祉政策としては十分検討価値がある一方、「少子化対策として4300億~520億円規模を投入する政策」としては撤回という結論でいいと思います。
そして、これはむしろ良い失敗です。
実際に520億円使って失敗したわけではなく、電卓を叩いた段階で撤退できたからです。
ここまでの少子化対策の考察そのものが、
アイデアを出す → 数字を入れる → 国際比較する → 費用対効果を見る → 筋が悪ければ捨てる
という政策のスクリーニングになっています。
少子化のようにそもそも政策反応性が低そうな問題では、画期的な万能策を探すより、「巨大な失敗をしない仕組み」を持つこと自体が重要なのだと思います。
終わりに
というわけで、僕が考えていた「シングルマザー集中支援によって出生数を増やす案」については、少子化対策としてはいったん撤回します。
シングルマザーの生活負担を減らす福祉政策としては意味がありますし、家事・育児サービスをポイントで提供する仕組み自体にも検討する価値はあると思います。
しかし、それと「出生数を増やす政策として費用対効果が高いか」は別問題です。
今回の失敗で分かったのは、小さな市場を狙えば効率的になるとは限らないことでした。
「未婚でも子どもが欲しい」という層には潜在需要があっても、そこから実際の出産までには、所得、仕事、住宅、一人育児への不安、家族や社会との関係など大量の障壁があります。
つまり、市場が小さいうえにコンバージョン率まで低い。
逆に既婚者や結婚希望者は母集団が大きく、すでに出産までのいくつかの障壁を突破しています。ただし、こちらも全員に1000万円を配れば、政策がなくても産む人にまで巨額の予算を使うことになります。
結局狙うべきなのは、
「大きな市場の中にいる、あと一押しで行動が変わる人」
なのだと思います。
そして、少子化対策そのものがそもそも費用対効果の悪い分野であるなら、なおさら重要なのは、壮大な政策をいきなり全国展開することではありません。
仮説を立てる。数字を入れる。小さく実験する。効果を測る。筋が悪ければ撤退する。
今回の案は計算段階で撤退となりました。
しかし、520億円を実際に使ってから失敗するより、電卓を叩いて「これはダメだ」と分かったほうが圧倒的に安い。
少子化のような正解の見えにくい問題では、「絶対に成功する政策」を探すこと以上に、失敗した政策に巨額の予算を突っ込み続けない仕組みを作ることのほうが、実は重要なのかもしれません。

