シングルマザーと結婚したら税金半額?――「再婚」を少子化対策に変える新しい社会保障の思考実験

どうも。

 

突然ですが、「シングルマザーと結婚し、血縁のない子どもの養育を引き受けた人は、税金を半額にする」という制度を作ったら、何が起きるでしょうか。

もちろん、これは現在のフランスにそのまま存在する制度ではありません。フランスには家族構成を所得税に反映する「家族係数」という仕組みがありますが、そこから着想を得て、日本向けの政策としてさらに極端な思考実験をしてみます。

日本には約119.5万の母子世帯があります。

ひとり親家庭の貧困を減らそうとすれば、児童扶養手当、保育、住宅、医療、家事・育児支援など、さまざまな公的支援が必要になります。

 

僕自身もこれまで、シングルマザーでも安心して子どもを産み育てられるように、育児で限界を迎えたときに社会が助ける「子育てレスキュー」のような仕組みを考えてきました。

しかし、ここで別の発想が浮かびました。

そもそも、シングルマザーを政府だけで支える必要があるのだろうか。

もし、血縁のない子どもの養育責任を引き受けることと引き換えに、再婚相手へ強烈な税制優遇を与えたらどうなるでしょう。

他人の子どもを育てるという大きな負担がある以上、単純な給付金よりモラルハザードは起こりにくい。一方、男性には大きな経済的メリットが生まれ、現在は不利になりやすいシングルマザーの「結婚市場での価値」を政策によって引き上げることができます。

 

その結果、

シングルマザーが再婚する
→貧困から抜け出す家庭が増える
→ひとり親への公的支援が減る
→「シングルマザーになっても再婚できる」という安心感が生まれる
→結婚できない女性にとっても出産のハードルが下がる

という循環まで作れないでしょうか。

 

男性が結婚市場から撤退しつつあるなら、「みんな結婚してから子どもを産みましょう」という従来型の少子化対策だけでは限界があります。

ならば逆に、結婚と出産をいったん切り離し、その後の再婚に強烈なインセンティブを付ける。

これは果たして荒唐無稽なアイデアなのか。

それとも、巨額の行政システムを新設するよりも、はるかに安く「家族」という既存の仕組みを利用できる政策なのか。

今回は、「シングルマザーとの再婚を税制で優遇する」という思考実験から、少子化、ひとり親の貧困、男性の結婚離れ、社会保障費をまとめて考えてみます。

 

「 フランスにはシングルマザーと結婚すると税金が半額になるという制度があるらしく、となればシングルマザーへの支援策(子育てレスキュー)以上の負担軽減になるのでは?と思う。

わざわざ子育てレスキューの仕組みを作らなくても、シングルマザーを救える。

しかし、そもそも男が結婚市場から撤退しており、だからこその結婚相談所の女余りであり、そこで結婚が減って厳しいからこそ、シングルマザーで子どもを産みたい人に支援をするという目的があった。

シングルマザーと結婚すると税金が半額になると、子育てレスキューの狙いは別物か?これについて意見や考察してください」

 

ここからはChatGPTの回答です。 

かなり面白い比較です。ただ、最初に一つ重要な訂正があります。

フランスに「シングルマザーと結婚した男性は税金が半額になる」という単純な制度があるわけではありません。

フランスには「quotient familial(家族係数)」という仕組みがあり、世帯構成に応じて所得税計算上の「parts(持分)」が増えます。

一方、ひとり親には追加の優遇がありますが、これはむしろ再婚・同棲すると失われる優遇です。たとえば子ども1人を単独で養育するひとり親は2 partsとなり、その税制上の追加優遇には2025年所得について4,262ユーロという上限があります。

なので、「フランス方式=シングルマザーと結婚する男性への強烈な税優遇」として日本に輸入する、という話なら、これはフランスの現行制度そのものではなく、新しい政策案として考えるのが正確です。

そのうえで考えると、以前考えていた「子育てレスキュー」とは、実はかなり違う問題を解決する政策だと思います。

 

1.「再婚減税」と「子育てレスキュー」は、狙っているボトルネックが違う

かなり単純化すると、

再婚減税
→「シングルマザーと結婚する男性を増やす」

子育てレスキュー
→「男性と結婚しなくても、女性が子どもを育てられるようにする」

です。

つまり、

前者は「新しい夫」を供給する政策。後者は「夫がいなくても回る育児インフラ」を供給する政策。

ここが決定的に違います。

 

むしろ、あなたが以前考えていた問題設定を前提にすると、子育てレスキューには独自の意味があります。

「男性が結婚市場から撤退している」
↓
「女性が結婚したくても相手が見つからない」
↓
「結婚を出生の前提にすると、出生数まで落ちる」
↓
「では、結婚できなくても子どもを持てる社会にする」

という発想だからです。

 

再婚減税は、この因果関係の上流へ戻って男性をもう一度結婚市場に呼び戻そうとする政策です。

子育てレスキューは逆に、

「男性が戻ってこないことを前提に制度を作る」

政策です。

ここは思想的にも結構大きな違いです。

 

2.ただし、「再婚減税」はものすごく費用対効果が高い可能性がある

ここはユーザー案としてかなり検討する価値があります。

たとえば、

子どものいるひとり親と結婚し、その子どもと同居して養育する人には所得税・住民税を大幅軽減する

という制度を日本が作ったとします。

これは政府が直接、

保育士を雇う、家事支援員を派遣する、相談員を置く、送迎する、病児保育を整備する……

という巨大な行政サービスを構築するのとは全く違います。

家庭内部に「もう一人の大人」を増やすインセンティブを与える。

これだけです。

 

そして家庭に大人が一人増える効果は非常に大きい。

お金だけではなく、

育児、家事、送迎、病気への対応、緊急時対応、精神的支援、収入、時間、子どもの見守り

などをまとめて供給できます。

言い換えると、夫・妻という存在は「家庭内総合サービス事業者」でもあるわけです。

だから、

年間100万円の減税

をした結果、家庭内に年間数百万円相当の労働・所得・ケア能力が追加されるなら、政府から見るとかなりレバレッジの効いた政策になり得ます。

これは子育てレスキューにはない強みです。

 

3.しかし最大の問題は「そもそも男性が結婚したくない」こと

ここで最初の問題に戻ってきます。

男性が結婚市場から退出しているなら、

「シングルマザーと結婚すると年間10万円お得です」

程度では、おそらく弱い。

男性側から見ると、

結婚+他人の子どもの養育

というかなり大きな責任を引き受けることになるからです。

 

つまり政策設計として重要なのは、

いくら減税すれば、男性の行動が実際に変わるのか?

です。

仮に年間100万円×10年間=1000万円規模のメリットにしたとしても、それでどれだけ再婚率が上昇するのか。

ここにはかなり大きな不確実性があります。

そして優遇を強烈にすればするほど、今度は偽装結婚・税目的結婚という問題が出てきます。

これは政策として面白いトレードオフです。

 

4.さらに重要なのは、「シングルマザーになる前」には効かないこと

これが子育てレスキューとの最大の違いかもしれません。

女性Aが、

「結婚相手はいない。でも子どもは欲しい。ただ、一人で育てるのは怖い」

と考えているとします。

子育てレスキューなら、

「出産しても、病気・仕事・育児疲労などのときに社会がバックアップします」

と言えます。

これは出生意思決定そのものに作用します。

 

ところが、

「シングルマザーになったら、そのうち税制優遇目当ての男性と再婚できるかもしれません」

では、出産の安心材料としてかなり弱い。

相手が現れる保証がないからです。

したがって少子化対策として見るなら、

子育てレスキュー=出生前から効く

再婚優遇=主として出生後に効く

という時間軸の違いもあります。

 

5.実は二者択一ではなく「三段階」にするとかなり綺麗

僕なら、このアイデアは子育てレスキューを廃止する方向ではなく、組み合わせます。

第1段階:個人
→ひとりでも子どもを持てる最低限の経済支援

第2段階:社会
→病気、送迎、育児疲労、緊急時などを子育てレスキューで補完

第3段階:家庭
→再婚した場合には税制上かなり有利にして、家庭内に第二の大人が入ることを促す

という構造です。

 

そして第3段階が成立した家庭については、子育てレスキューの利用必要性は自然に低下する。

つまり、

公的支援 → 家庭形成による私的支援への移行

を促せます。

これは結構合理的です。

 

6.ただし「シングルマザー限定」にするのは危ない

ここは制度設計上かなり重要です。

「シングルマザーと結婚した男性を優遇」

にすると、政策思想として妙なことになります。

同じ子どもを育てていても、

初婚家庭には優遇なし
離婚して再婚すると優遇あり

となれば、

一度ひとり親になったほうが得

という制度上の歪みを作る可能性があります。

 

だから本当にやるなら、

「血縁のない子どもを含め、子どもの養育責任を新たに引き受ける成人」に対する養育税額控除

くらいに一般化したほうがいいでしょう。

「シングルマザーをもらった男性へのご褒美」ではなく、

「社会が負担していた子育てコストの一部を家庭内で引き受ける人への対価」

と考える。

このほうが政策として筋が通ります。

 

7.そして、あなたの元々の問題意識からすると「子育てレスキュー」のほうがラディカル

ここが一番面白いところだと思います。

再婚優遇は結局、

父+母+子

という従来型家族へ戻そうとする政策です。

一方、子育てレスキューは、

「そもそも現代社会では、結婚と出産をセットにしなくてもいいのではないか」

という政策です。

 

だから少子化問題へのアプローチとしては、

再婚減税=家族の再構築

子育てレスキュー=家族機能の社会化

と整理できます。

前者は、家庭という既存の強力な仕組みを再利用できるので安い。

後者は、お金がかかる代わりに、男性の結婚意思に出生数を依存させなくて済む。

この違いはかなり大きいです。

 

なので、「子育てレスキューを作らず、再婚減税だけでいい」とまでは思いません。

むしろ少子化対策として考えるなら、

結婚できる人は結婚する。再婚できる人は再婚する。しかし、それが成立しなかった女性でも子どもを持てる。

という状態を作ることが、あなたが考えていた仕組みの本質だと思います。

 

そして再婚税制は、そのシステムに「公的支援から家庭内支援へ移行する出口」を追加する政策として位置づけると非常に相性がいい。

ちなみに現在のフランス税制では、ひとり親の追加優遇は「一人で子どもを育てていること」が条件で、同棲している場合にも「parent isolé(ひとり親)」とは扱われません。

つまり現実のフランス制度は、「シングルマザーと結婚させるインセンティブ」というより、ひとりで養育していることによる負担を税制で補正する制度に近いです。

この二つを区別すると、かなり面白い少子化政策論になります。「家族を復活させる政策」と「家族がなくても産める政策」のどちらに資源を配分するべきなのか、という一段大きな論点になるからです。

 

 

「 血縁のない子どもを含め、子どもの養育責任を新たに引き受ける成人」に対する養育税額控除ならば、自分の血が入った子どもを持ちたいなら、結婚するしかなく、シングルマザーとの結婚は他人の子どもを育てることになるので、モラルハザードが起きにくいでしょう。

とはいえ、偽装結婚はありえそうで、一度、他人の子どもを産んでシングルマザーになり、その後、再婚し、自分の子どもを産んでもらえたら、税金が半額なら、その戦略のほうがいいです。

しかし、他人の子どもまで育てるという負担がやはりあり、モラルハザードは起きにくい。

シングルマザーは貧困にあえいでいて、再婚に税金が半額になる制度があったら、シングルマザーが人気が出て再婚が増えて、貧困者が減りそうで、うまい仕組みです。

なにより、この連鎖が生じて、シングルマザーが壊滅的に減ったら、「シングルマザーで子どもを産んでも誰かと再婚できる」という安心感が広がります。

男も税金が半額になるというメリットは大きいです。(他人の子どもを育てる事になっても) 

これは税金を半額にするという制度をいじるだけでできます。

母子世帯は119.5万世帯ありますが、これが半減したら、税金はどれだけ減りますか?旦那の収入は500万ぐらいとみなして計算してください。これについて意見や考察をしてください」

 

ここからはChatGPTに聞いた回答です。

この発想は、かなり面白いです。特に重要なのは、「再婚を促進してひとり親支援の対象そのものを減らす」という点です。

まず、いただいた条件で単純計算します。

母子世帯を 119.5万世帯、その半分が再婚するとすると、

119.5万 × 50% = 59万7,500世帯

です。

年収500万円の会社員男性を想定します。2026年の所得税は基礎控除などが拡充されており、給与500万円なら給与所得は概ね356万円になります。さらに社会保険料などを差し引くので、所得税そのものは意外に小さいです。2026年には所得500万円未満の層の基礎控除が大きくなっています。

 

かなり単純化して、

  • 所得税:約9万円
  • 住民税:約24万円
  • 所得税+住民税:約33万円

程度と仮定しましょう。

「税金半額」を所得税+住民税が50%減という制度にすると、男性1人あたりの減税額は、

約16.5万円/年

です。

 

したがって、

59万7,500人 × 16.5万円 ≒ 986億円/年

となります。

つまり、母子世帯119.5万世帯の半分がこの制度によって再婚したと仮定すると、国+地方を合わせた減収は年間およそ1,000億円というのが一つの目安になります。

これは思ったより小さいです。

 

「税金半額」の響きほど政府負担は大きくない

ここがこのアイデアの面白いところです。

「税金半額!」

というと年間50万円、100万円ぐらい得するように感じますが、年収500万円の人は、そもそも所得税をそれほど払っていません。

ざっくり言えば、

年間16〜17万円
=月1.4万円程度

です。

 

したがって59.75万組もの再婚を実現しても、財政コストは年間約1,000億円。

日本政府の政策としては、それほど巨大な金額ではありません。

ただし、ここでいう「税金」に社会保険料まで含めると話は全然違います。年収500万円なら本人負担の健康保険・厚生年金・雇用保険などは年間70万円前後になるため、それまで半額にすると、財政コストは数千億円規模になります。

なので制度としては、

所得税+住民税を50%減

くらいの方が現実的です。

 

そして、ものすごく重要なのが「児童扶養手当が消える」

この政策の財政計算では、税収減だけを見てはいけません。

現在、児童扶養手当は、条件を満たすひとり親について子ども1人なら最大月48,050円です。しかも、子どもが母または父の配偶者(事実婚を含む)に養育されている場合は原則として対象外になります。

最大額なら、

48,050円 × 12か月 = 57万6,600円

です。

極端な上限計算ですが、59万7,500世帯全部が満額の児童扶養手当を受けていたと仮定すると、

59万7,500 × 57万6,600円 ≒ 3,445億円

になります。

 

一方で再婚減税のコストは先ほどの仮定なら約986億円。

したがって極端なモデルでは、

児童扶養手当削減 約3,445億円
-再婚減税 約986億円
=約2,459億円

となります。

もちろん実際には全母子世帯が児童扶養手当を満額でもらっているわけではないので、「2,459億円儲かる」という意味ではありません。

 

しかし方向性として重要なのは、

再婚減税には税収減が発生する一方、ひとり親向け公的支出が減る

ということです。

さらに自治体独自のひとり親医療費助成、住宅支援、生活保護などが減るケースもあります。

つまり純粋な財政負担は、約1,000億円よりかなり小さくなる可能性があります。

 

ここからが、この案の本当に面白いところです

私はこの政策を単なる「シングルマザー救済」より、

「家庭形成による社会保障費削減政策」

として考えると面白いと思います。

現在は、

母+子
↓
母の所得
↓
児童扶養手当
↓
住宅・医療・保育等の公的支援

という形で国家が不足分を補っています。

 

ところが再婚すると、

母+子+年収500万円の男性

になります。

ものすごく単純化すれば、

政府が父親の機能の一部を代替していた状態から、家庭内部へ機能を戻す

ことになる。

 

だから政府が年間16万円程度を男性に減税して、

年収500万円+家事+育児+緊急対応能力を持つ成人を家庭に1人追加できる

なら、かなりレバレッジが効いています。

これは以前の「子育てレスキュー」と比較しても面白いところです。

子育てレスキューなら、

保育士
相談員
送迎スタッフ
行政職員
病児保育
家事代行

などを別々に用意しなければならない。

しかし再婚なら、

一人の人間が全部をある程度兼ねる。

これが「家族」というシステムの圧倒的な低コスト性です。

 

ただし、年16万円で男性が動くのか?

ここが最大の問題です。

「税金半額」という言葉は強烈ですが、年収500万円男性の場合、

実額では月1万数千円

です。

これで、

「他人の子どもを養育する」

という巨大な責任を引き受ける男性が劇的に増えるかというと、私はかなり疑問です。

 

そこでむしろ面白いのは、

所得税・住民税50%減+期間限定

にすることです。

たとえば、

「18歳未満の血縁のない子どもの養育責任を引き受けた成人は、その子どもが18歳になるまで所得税・住民税50%減」

とする。

すると、子どもが5歳のときに再婚すれば13年間。

年16.5万円なら、

約215万円

の生涯メリットになります。

子どもが2歳なら16年間で、

約264万円。

これくらいになると、「おまけ」としてはそれなりの規模になってきます。

 

あなたが指摘した「モラルハザードが起こりにくい」は、その通りだと思います

ここはこの政策の非常に面白い性質です。

通常の補助金なら、

「制度を悪用してお金だけ取ろう」

という行動が出ます。

しかし、この制度を悪用するには、

他人の子どもと一緒に暮らして養育する

という非常に大きな実物負担を背負わなければなりません。

 

たとえば、

A男とB女が制度を悪用するため、B女が別の男性との子どもを産む
↓
シングルマザーになる
↓
A男と結婚
↓
税金50%減
↓
その後A男との子どもを産む

という戦略は理論上できます。

しかしA男はそのために、

血縁のない第一子を十数年間養育する

ことになります。

 

年間16万円程度の減税を得るために、食費・住居費・教育費・時間・育児労働を負担する。

経済合理性だけで考えると、ほぼ割に合いません。

つまりこの制度は、

金銭的報酬はあるが、報酬を得るためには本当に社会的に有益な行動をしなければならない

という構造になっています。

これは政策としてかなり優秀な性質です。

 

さらに面白いのが、あなたの言う「期待形成」です

私はここが少子化対策として一番重要かもしれないと思います。

現在、

「未婚で子どもを産む」

ことの最大のリスクの一つは、

この先ずっと一人で育てなければならないかもしれない

ことです。

 

ところが、

シングルマザーになる
↓
再婚税制によって婚活市場で相対的に有利になる
↓
再婚者が増える
↓
実際に多くの女性が再婚できているのが観察される
↓
「未婚で出産しても人生が詰むわけではない」
↓
未婚女性の出産リスク認識が低下する

という循環が本当に成立すれば、

制度の直接効果以上の効果

が生まれます。

 

これは経済学でいう期待形成の問題にかなり近い。

つまり政策の目的は59万人を再婚させることだけではなく、

「ひとり親になっても再び家庭を作れる」という社会的期待を作ること

になります。

ここまで行けば、子育てレスキューとは別の少子化対策になります。

 

ただ、一つだけ注意したい

「シングルマザーが人気になる」ほど税優遇を強くすると、今度は妙な市場ができます。

年収1000万円男性なら所得税・住民税負担は500万円男性よりはるかに大きいため、

税金50%減の価値も年収が高いほど大きい

からです。

つまり、

年収300万円男性 → メリット小
年収500万円男性 → メリット中
年収1500万円男性 → メリット巨大

となる。

 

これは本来の政策目的とズレます。

なので私は、「税率半額」より「一定額の税額控除」の方が制度設計として綺麗だと思います。

たとえば、

血縁のない18歳未満の子どもの実質的な養育者になった成人について、年間30万円の税額控除

とする。

そうすれば、

59万7,500人 × 30万円
=年間1,792.5億円

です。

年収300万円でも500万円でも1000万円でも基本的に同額なので、金持ちほど得する問題も小さい。

さらに児童扶養手当などの削減分があるため、純財政コストは見た目ほど大きくない可能性があります。

 

結論として、私はこのアイデアは「子育てレスキューの代替」というより、

①ひとりで産める安心を社会保障で作る
→②ひとり親になった後は再婚を強烈に後押しする
→③再婚によって公的支援から家庭内支援へ移行する

という二段階・三段階型の少子化政策にするとかなり面白いと思います。

しかも今回の単純試算では、母子世帯119.5万世帯の半分、約59.8万世帯を対象としても、年収500万円男性の所得税+住民税を半額にするだけなら減収は年間約1,000億円程度です。

もしそれによって数十万世帯に「もう一人の成人」が入り、児童扶養手当等の支出が減り、母親の就労が増え、さらに「未婚で産んでも再婚できる」という期待まで形成されるなら、1,000億円という政策実験費は意外なほど小さい、というのがこの案の一番興味深いところだと思います。

 

 

終わりに――「シングルマザーを支援する」から「シングルマザーが減る仕組みを作る」へ

今回考えてみて面白かったのは、社会問題に対して必ずしも政府が新しいサービスを一から作る必要はない、ということです。

シングルマザーの負担が大きい。

それなら、保育、家事、送迎、相談、病児対応などを公的サービスとして次々に追加する方法があります。

僕が考えていた「子育てレスキュー」も、この発想です。

 

しかし、もう一つの方法があります。

家庭の中に、もう一人の大人を増やすことです。

再婚相手は、単なる経済的支援者ではありません。

収入を持ち、家事を分担し、子どもを見守り、病気や災害などの緊急時には対応し、母親が倒れたときには代わりに動くことができます。

政府がこれらを一つひとつサービスとして提供しようとすれば莫大な人員と予算が必要ですが、家族という仕組みはそれらを一人の人間が横断的に担っています。

そこで、血縁のない子どもの養育責任を本当に引き受ける人に対して、大胆な税制優遇を与える。

 

仮に日本の母子世帯約119.5万世帯の半分、約59.8万世帯が再婚し、年収500万円程度の男性の所得税・住民税を半額にしたとしても、単純試算では税収減は年間1000億円程度です。

もちろん、本当に60万組近い再婚が生まれるとは限りません。

年間十数万円程度の減税で男性の行動が大きく変わるのか、偽装結婚をどう防ぐのか、再婚家庭で子どもの安全をどう守るのか、所得が高い人ほど減税額が大きくなる問題をどうするのかなど、制度設計上の課題はいくらでもあります。

そのため、実際には単純な「税金半額」ではなく、血縁のない未成年者の実質的な養育責任を引き受けた成人に対して、年間一定額の税額控除を与える方式などのほうが合理的かもしれません。

 

それでも、この思考実験には一つ重要な視点があります。

社会保障とは、「困っている人にお金を渡すこと」だけではない。

人間の行動が変わるようにインセンティブを設計し、結果として支援を必要とする状態そのものを減らすことも社会政策です。

さらに、この政策が本当に機能した場合、もっと大きな二次効果が生まれる可能性があります。

シングルマザーの再婚が珍しくなくなれば、

「結婚できなければ子どもを持てない」

という現在の強い制約が少し弱くなります。

 

たとえ最初の結婚が成立しなくても、子どもを産み、その後に新しい家庭を作るという人生経路が現実的な選択肢になるからです。

そうなれば、子育てレスキューと再婚支援は競合する政策ではありません。

一人でも産み育てられる社会的セーフティネットを作る。
それでも一人で抱え続ける必要はないよう、再婚にもインセンティブを与える。

この二つを組み合わせれば、

「結婚できる人しか子どもを持てない社会」から、「結婚できなくても子どもを持てて、その後もう一度家族を作ることもできる社会」へ移行できるかもしれません。

 

少子化対策というと、どうしても「いくら給付するか」「保育園をいくつ作るか」という議論になりがちです。

しかし、本当に考えるべきなのは金額だけではないのだと思います。

人はどんな条件なら結婚するのか。
どんな条件なら他人の子どもまで育てようと思うのか。
そして、どんな社会なら「一人でも子どもを産んで大丈夫だ」と思えるのか。

少子化とは、お金の問題であると同時に、制度によって人間の選択がどう変化するのかという問題でもあります。

だからこそ必要なのは、支援を増やし続ける発想だけではなく、「人が自発的に助け合うほうが得になる仕組み」を設計することなのかもしれません。

 

 

 

ひろゆき氏に僕のブログを見られていると認識しており、たたき台、そして失敗策の子育てレスキューの記事を公開したことで、新たな発想につながったと思っており、たたき台は役立つということだ。

しかし、実際は金持ちの男ほど動機づけが高まり、金持ちの男は少ないから、そんなにシングルマザーと結婚せず、1、2割減すればいいほうなのかな。

https://www.sponichi.co.jp/entertainment/news/2026/08/30/articles/20260830s00041000178000c.html

ひろゆき氏、日本は「お金教に毒されちゃってる」と私見「社会には色んな役割があるのに…」

 

 

追加記事。

「 フランスの婚外出生はどれくらいですか?もしかしたら、シングルマザーと結婚したら税金面で優遇されるから、高いという因果はありますか?」

 

はい。フランスの婚外出生率は非常に高いです。ただし、調べてみると、「シングルマザーと結婚すると税制上得だから婚外出生が増えた」という因果関係は、かなり考えにくいです。むしろ別の仕組みが大きそうです。

フランスでは約6割が婚外出生

フランス国立統計経済研究所(INSEE)の最新データでは、婚外出生の割合は、

年婚外出生率
201458.5%
201659.7%
201860.3%
202062.2%
202358.5%
202459.7%
202559.8%

となっています。つまり現在のフランスでは、赤ちゃんの約10人に6人が法律婚をしていない両親から生まれています。

EU全体でも婚外出生は珍しくなく、2023年には約4割。フランスは58.5%でEUでもトップクラスでした。

日本とはまったく違う世界です。

ただし、ここで非常に重要なのが、

「婚外出生 ≠ シングルマザー」

ということです。

 

フランスの場合、

結婚していない男女が同棲している
↓
子どもが生まれる
↓
そのまま二人で育てる

というケースが大量に含まれます。

したがって、「約6割がシングルマザーから生まれている」という意味ではありません。

 

そして、前の話には重要な修正があります

前回話題にしたフランスの税制を改めて確認すると、「シングルマザーと結婚した男性は税金が半額になる」という制度ではありません。

フランスにはquotient familial(家族係数)という所得税制度があります。

所得税を単純に個人単位で計算するのではなく、

世帯所得 ÷ 家族のparts(持分)

によって税額を計算する仕組みです。

 

たとえばひとり親+子ども1人なら2 partsとして計算されます。フランス政府自身が、課税所得3万ユーロのひとり親+子1人の場合、単身者なら約2,165ユーロの所得税が約771ユーロになる例を示しています。

つまり、

「シングルマザーとの再婚に報奨金を出している」

というより、

「子どもを養育している家庭の所得税負担を軽くする」

という思想です。

しかも、ひとり親には追加の税制優遇があります。

 

したがって、

婚外子を産む
→シングルマザーになる
→男性と結婚する
→男性の税金が半額
→だから婚外出生が増える

という因果関係をフランスの高い婚外出生率の説明にするのは難しいです。

 

むしろフランスから得られる示唆は逆かもしれません

ここが今回の議論とつながって面白いところです。

フランスでは、

「子どもを産む=まず結婚しなければならない」

という結びつきが日本よりずっと弱い。

約6割が婚外出生なのですから、

恋人がいる
↓
一緒に暮らす
↓
子どもを産む
↓
結婚するかどうかは別問題

という人生経路が社会的に成立しているわけです。

 

これは、あなたが考えていた「子育てレスキュー」の思想にむしろ近いです。

日本では、

恋愛→結婚→出産

という一本道が非常に強い。

だから途中の「結婚」が成立しなければ、

出産まで消えてしまう。

一方フランスでは、

恋愛→同棲→出産

という別ルートがかなり普通になっている。

これなら婚姻数が減少しても、それがそのまま出生数の減少に直結しにくくなります。

 

ここに「再婚インセンティブ」を追加するというのが、今回のあなたの案

そして、これはフランスの制度とは別物として考えたほうが面白いです。

仮に日本で、

① 結婚していなくても安心して産める

子育てレスキュー、児童扶養、保育、住宅支援などを整える。

↓

② ひとり親になっても生活が破綻しない

↓

③ さらに血縁のない子どもの養育を引き受ける成人には、大幅な税額控除

↓

④ シングルマザーの再婚市場での不利を政策的に相殺

↓

⑤ 再婚が増える

↓

⑥ 「結婚せずに産んでも、その後家庭を形成できる」という実績が増える

↓

⑦ 未婚女性が感じる出産リスクがさらに低下

という循環を狙う。

 

これはフランスの制度をコピーするのではなく、

フランス型の「結婚と出産の分離」+日本独自の「再婚インセンティブ」

と考えると非常に面白いと思います。

 

ただし、ここには一つ大きな落とし穴があります

再婚を強烈に優遇すると、

「再婚したほうが得」

にはできます。

ところが、ひとり親支援を手厚くしすぎると逆に、

「再婚しないほうが得」

というインセンティブが発生します。

これはかなり重要です。

 

たとえば、

シングルマザー
→児童扶養手当+住宅支援+医療支援+保育優遇

なのに、

再婚
→これらを失う

となれば、結婚による経済的メリットが相殺されます。

だから制度全体を、

シングル状態でも生存できる。ただし再婚するともっと豊かになる。

という形に設計する必要があります。

これはかなり重要な原則だと思います。

 

そして私は、今回の発見で「子育てレスキュー」と「再婚減税」の役割分担がかなり明確になったと思います

子育てレスキューは「産む前」の安心を作る政策。

「夫がいなくても何とかなる」と思わせる。

一方、

再婚減税・養育税額控除は「産んだ後」の安心を作る政策。

「一度シングルマザーになったら一生一人で育てるしかない」という恐怖を小さくする。

 

この二つがセットになると、

結婚→出産

しかなかった一本道を、

結婚→出産

だけでなく、

未婚→出産→再婚

未婚→出産→単独養育

同棲→出産→後から結婚

などへ分岐させられます。

 

そしてフランスの約60%という婚外出生率が示しているのは、少なくとも「出産は法律婚の内部でなければならない」という社会モデルは絶対条件ではない、ということです。

なので、「フランスは再婚税制があるから婚外出生率が高い」という仮説そのものは支持しにくいのですが、フランスを調べたことで、あなたが考えている政策の別の意味がむしろ強くなったと思います。

つまり少子化対策を「どうやって若者を結婚させるか」だけで考えるのではなく、

「結婚と出産の結びつきを弱めたうえで、産んだ後に家庭を再形成しやすくする」

という二段構えです。

これは「結婚を増やして出生を増やす」という従来型とはかなり違う政策思想になります。

 

追加記事2

 

「 子育てレスキューはシングルマザーの安心感を増やすという意味では多少マシですが、金もかかるし、出生率の直接的な増加に結びつきにくいのはシュミレーションで結果が出ましたよね?

となると、子持ちシングルマザーと再婚すると税金面で優遇されるだけ実施するとどうなりますか?

因果関係など考えてシュミレーションしてください」

 

はい。前回のシミュレーションでは、「子育てレスキュー」は福祉政策としては意味があっても、出生数を直接増やす政策としては費用対効果が弱いという結果でした。

東京モデルでは年間約520億円を使って追加出生が約370人、出生率も約0.960→0.964程度という試算でした。

もちろん仮定依存ですが、「安心感を増やすだけでは出産という大きな意思決定はそれほど動かない」という示唆でした。

では逆に、子育てレスキューを作らず、「子持ちシングルマザーと結婚した人への税制優遇」だけを実施したらどうなるか。これはかなり違う経路で出生数に作用します。

まず現実の出発点として、日本には母子世帯が約119.5万世帯あり、その86.3%は母親自身も就業しています。母子世帯になった理由の79.5%は離婚です。

 

私なら因果関係をこうモデル化します

政策を仮に、

「18歳未満の子どもがいるシングルマザーと結婚し、その子と同居・養育する人は、所得税+住民税を50%減免」

とします。

年収500万円男性なら、前回の概算では年間メリットを約16.5万円と置きました。

すると、

税制優遇
→シングルマザーと結婚する経済的デメリットが少し縮小
→シングルマザーの再婚率上昇
→母子世帯減少
→世帯所得上昇
→児童扶養手当等の支出減少
→再婚夫婦の「共通の子」が生まれる
→出生数増加

という直接ルートが発生します。

 

さらに長期的には、

シングルマザーの再婚成功例が増える
→「未婚・離婚で子持ちになったら人生が詰む」という認識が弱まる
→未婚出産に対するリスク認識低下
→婚外出生が少し増える
→その一部が後に再婚
→さらに共通子が生まれる

という期待形成ルートも考えられます。

ただし後者はかなり不確実なので、まず直接効果だけ計算した方がいいでしょう。

 

3つのシナリオで計算してみる

ここで重要なのは、119.5万母子世帯のうち「制度がなければ再婚しなかったが、減税によって追加的に再婚する世帯」が何%になるかです。

ここは実証データがないので、仮定を置きます。

シナリオ税制による追加再婚追加再婚世帯
弱い効果2%約2.4万
中程度5%約6.0万
強い効果10%約12.0万

重要なのは既存の再婚を数えないことです。

政策がなくても再婚した男女に減税しても出生増加効果はゼロだからです。

これは以前の少子化政策のシミュレーションでも重要だった「純増」を見る考え方と同じです。

 

次に「再婚した夫婦が共通の子を作る確率」

ここが非常に面白い。

ステップファミリーの研究では、再婚後の夫婦が「二人の共通の子ども」を持つ現象は実際にあります。

米国研究では、前のパートナーとの子どもがいることは出生意思を弱める面がある一方、「現在の夫婦双方が生物学的親になれる共通子を持つ」動機も存在することが示されています。別の研究では、ステップファミリーの女性は条件調整後でも、新しいパートナーとの最初の共通子を持つ可能性が必ずしも低くありません。

つまり、

「妻にはすでに子どもがいるから、もう産まない」

だけではない。

 

男性側からすると、

「妻の連れ子だけではなく、自分の血縁のある子どもも欲しい」

という動機があり得る。

これは今回の政策にとってかなり重要です。

仮に追加再婚した夫婦のうち、

30%が平均1人の共通子を追加で持つ

と置きましょう。

 

するとこうなります。

追加再婚率追加再婚共通子出生30%追加出生
2%23,900組×30%7,170人
5%59,750組×30%17,925人
10%119,500組×30%35,850人

これはかなり大きい。

 

子育てレスキューとの決定的な違い

前回の東京シミュレーションでは、

年間約520億円 → 追加出生約370人

でした。

一方、今回の全国モデルで追加再婚率5%なら、

約6万組の追加再婚
→約1.8万人の追加出生

です。

 

もちろん地域も母集団も違うので、370対1.8万を直接比較してはいけません。

それでも、因果経路がまったく違います。

子育てレスキューは、

支援→安心感↑→「それなら産もうかな」

という弱い経路です。

 

再婚促進政策は、

減税→結婚相手ができる→家庭形成→夫婦共通の子どもが欲しくなる→妊娠・出産

という経路です。

出生にかなり近いところを刺激しています。

私はここが大きな違いだと思います。

 

ただし年間16.5万円では弱すぎる可能性がある

ここが今回のシミュレーション最大の問題です。

年収500万円男性に、

「シングルマザーと結婚すれば毎月約1万4千円得します」

と言ったところで、

それだけで他人の子どもの養育責任を引き受けますか?

という話です。

おそらく大部分の男性は、それだけを理由には結婚しません。

 

だから追加再婚率10%はかなり楽観的です。

むしろ現実的には、

1~3%程度しか動かない

可能性も十分あります。

 

仮に1%なら、

119.5万 × 1% = 11,950組

その30%が共通子を持つなら、

約3,585人の追加出生

です。

それでもゼロではありません。

 

そこで「税金半額」という見せ方自体に意味がある

ここは行動経済学的に面白いところです。

「年間16万5,000円給付」

より、

「子持ちのシングルマザーと結婚すると所得税・住民税が半額」

の方が心理的インパクトは大きい。

しかも期間が長い。

たとえば5歳の子どもが18歳になるまで13年間なら、

16.5万円 × 13年 ≒ 214万円

です。

 

「連れ子を養育することで200万円以上の税制メリット」

と考えれば、結婚相手を比較している男性の限界的な意思決定には効く可能性があります。

税制だけで恋愛感情を作ることはできません。

しかし、

Aさん=子なし女性
Bさん=子持ち女性

で男性が迷っていて、本来ならBさんは「連れ子」という大きなマイナスがある。

 

そこで政府がBさん側に200万円程度の経済価値を追加する。

つまりこれは、

シングルマザーの結婚市場におけるディスカウントを政府が部分的に補償する政策

と考えると分かりやすい。

 

財政コストも「追加再婚だけ」で考えると小さい

ただし制度導入後は、政策がなくても再婚する人にも減税する必要があります。

一方、政策の限界的な費用対効果を見るために追加再婚分だけ計算すると、

追加再婚5%=59,750組なら、

59,750 × 16.5万円

=年間約98.6億円

です。

 

そして約17,925人の追加出生という仮定なら、

98.6億 ÷ 17,925 ≒ 55万円/追加出生

です。

これは非常に良い数字になります。

ただしこれは「追加再婚者だけに減税できる」という現実には不可能な仮想的な限界費用です。実際には既存の再婚者にも適用するので、制度総費用はもっと大きくなります。

それでも、母子世帯全体119.5万の半数近くまで対象が広がった前回の極端な想定でも、減税総額は約1,000億円規模でした。

 

さらに政府には「逆キャッシュフロー」がある

再婚すると、

児童扶養手当などのひとり親向け給付が不要になるケース

があります。

したがって、

税収 −1,000億円

だけを見るのは間違いで、

税収減
−
児童扶養手当等の削減
+
母親の就労・所得増による税収
+
新しく生まれた子どもによる長期的効果

まで見る必要があります。

 

母子世帯の86.3%がすでに就業しているので、再婚によって母親が必ず働き始めるわけではありませんが、家事・育児負担が分散されれば、勤務時間や雇用形態が変わる可能性はあります。

ここまで入れると、純財政負担がかなり小さい政策になる可能性はあります。

 

ところが、この政策には強烈な「選別」が発生する

ここは記事に入れた方がいい論点です。

すべてのシングルマザーが同じように恩恵を受けるわけではありません。

おそらく男性から見て、

若い母親
+子どもが1人
+子どもが幼い
+母親自身にも収入がある
+男性との共通子を希望

という女性ほど制度効果が大きくなります。

 

逆に、

子ども3人
+子どもが思春期
+母親が高年齢
+共通子を希望しない

なら、年間十数万円の減税では男性側の負担を到底相殺できないでしょう。

つまりこれは、

シングルマザー全般を救済する福祉政策ではありません。

むしろ、

「再婚可能性のある母子世帯を家庭形成へ戻す政策」

です。

ここは子育てレスキューとは完全に違います。

 

そして一番面白いのは10~20年後の二次効果

短期的には、

減税→再婚↑→共通子出生↑

です。

ところが再婚成功例が社会に大量に蓄積すると、

「子持ち女性は婚活で極端に不利」

という認識そのものが弱まる可能性があります。

 

さらに男性側にも、

「連れ子はいるけれど税制優遇があるし、彼女との自分の子どもも作れる」

という人生設計が定着する。

女性側では、

「結婚できないから出産を諦める」

から、

「先に産んでも、後から家庭形成できる」

という選択肢が生まれる。

 

ここまで到達すると初めて、

婚外出生率そのものを上昇させる二次効果

が出てきます。

フランスでは2024年の出生の59.7%が婚外出生でした。もちろんこれは「再婚減税」が原因ではありませんが、少なくとも法律婚と出産を強固にセットにしない社会が成立可能であることは示しています。

 

私ならこう評価します

政策の因果を整理すると、

税制優遇
→①シングルマザーの再婚市場価値を底上げ
→②再婚増加
→③母子世帯の貧困減少
→④ひとり親向け社会保障費減少
→⑤新しい夫との共通子出生
→⑥「子持ちでも再婚できる」という社会的期待形成
→⑦未婚出産の心理的リスク低下
→⑧婚外出生増加
→⑨その一部がさらに再婚
→①へ戻る

という正のフィードバック・ループを狙う政策になります。

 

ただし、私は⑥~⑨はかなり割り引いて考えます。

確度が比較的高いのは、

①→②→③

です。

中程度の確度なのが、

②→⑤

です。

そして最も不確実なのが、

⑥→⑦→⑧

です。

 

したがって出生政策として評価すると、私なら中心シナリオを、

追加再婚率2~5%
×
そのうち共通子を持つ割合20~30%

くらいから始めます。

すると119.5万母子世帯に対して、

追加再婚:約2.4万~6.0万組

追加出生:約4,800~17,900人

くらいが「政策がかなりうまく機能した場合に検討するレンジ」になります。

 

ただしこれは予測値ではなく、感度分析のための仮定モデルです。日本でこの減税を実施した実証データは存在しないため、「本当に年間16万円程度で2~5%も再婚が増えるのか」が最大の未知数です。

そして私はここを調べれば調べるほど、子育てレスキューとは競合させず、少子化対策からは子育てレスキューを外して、こちらだけを小規模な政策実験として試すという考え方には合理性があると思います。

なぜなら、失敗して再婚も出生もほとんど増えなかったとしても、減税を受け取るためには原則として「実際に血縁のない子どもの養育責任を引き受ける」必要があるからです。

つまり出生効果がゼロでも、母子世帯の一部を二人親世帯へ移行させるという別の便益が残る。

これは、以前の子育てレスキューで評価した「出生に効かなくても福祉便益が残る」という性質を、行政サービスを大量に新設せず税制だけで狙えるところが、この案のかなり強い部分だと思います。

 

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